日本・アジア地域チャネルマーケティング 執行役員 本部長 青木 大知
4月に入り、新社会人や新1年生の皆さまにおいても、新しく出会う上司、同僚、先生や同級生とはオンラインで「はじめまして」となることも多いと思われます。この2年で身近になった、ZoomやTeamsなどのオンラインミーティング。仕事や授業での利用から、休日のイベント、飲み会など、これまでにないほど多くの人が体験することとなりました。
便利なシステムではありますが、あくまで利用するのは「人」。使う側の予備知識や心掛けしだいで、どれだけ楽しく有益な時間を過ごせるかが変わってくるでしょう。この機会に改めて、安心・安全なオンラインミーティングの利用法を考えてみませんか。
ホスト役は、会議室のガードから
オンラインミーティングが急激に使われるようになった当初は、セキュリティ面のリスクや、システムの脆弱性が指摘されていました。例えば古いバージョンのWindows版Zoomアプリでは認証情報が流出する可能性があるといったニュースが流れたため、今もそうしたイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、現在では多くの問題は修正されており、最新バージョンにアップデートしていれば、システムそれ自体のリスクは低くなりました。
となれば、より気にすべきは「使い方」といえるでしょう。
コロナ禍を機に見かけるようになった言葉に「Zoom爆弾」があります。オンライン上の会議や授業に、見知らぬ第3者が乱入して暴言を繰り返すといった、迷惑行為を指しています。参加用のリンクが誰でも見られる状態になっていたり、主催者が会議室にパスワードをかけていなかったりすると、そうした乱入を招く可能性があります。
招かれざる客を防ぐために、オンラインミーティングのホスト側になる場合は、参加URLをむやみにSNSなどに書き込まないこと。そして会議室に複雑なパスワードを設定し、参加者が揃ったらロックをかけるなど、外部からの参加を制限する機能を利用すると安全です。もちろん、パスワードは他と使い回さないように注意しましょう。
安心して参加できる空間を作ることが、ホストのおもてなしとして、オンライン時代にはいっそう大切になるかもしれませんね。
プライバシーを守って参加するには
オンラインミーティングの参加者側は、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。まず気になるのは、プライバシーの問題です。
カメラをオンにしていると、背後に自宅の家具や設備、家族、個人情報の書かれたものが映り込んでしまうなど、知られたくない情報が意図せず見られてしまう可能性があります。自宅やオフィスの一角から参加する場合には、背後の映り込みに注意が必要です。逆にカフェなど外から参加する場合には、大事な会話や画面の情報が、後ろから見られているかもしれません。
接続回線にも注意を。フリーWi-Fiでインターネットを利用していると、不正アクセスを受け、通信内容を傍受される可能性があります。特に外出先で接続が必要になるときには、VPNといった安全性の高い通信環境を確保することをおすすめします。
驚くべきことに、オンラインミーティング中に画面に映った体の動きで、キーボード操作が読み取られる可能性があるとの研究もあります。手元が映っていなくても、肩や腕の動きだけで、パスワードやカード番号を読み取られかねないというのです。対策としては、まずパスワードを複雑にすること。併せて生態認証、多要素認証など複数の認証方法を組み合わせて、不正使用しづらくすることがより大切になりそうです。
もちろん、インターネットに接続する際の一般的な注意点も忘れてはなりません。例えば、サイバー犯罪者は流行に合わせて詐欺の手口を応用します。オンラインショップを装った怪しい詐欺メールと同じように「これから会議が始まります」と書かれたフィッシングメールや、アプリストアでは偽のオンラインミーティングアプリも発見されています。
またオンラインセミナーやオンラインイベントの中には、儲け話で詐欺の“カモ”を探していたり、カルト団体への勧誘を目的にしたりというものもあるようです。これも場所がオンラインになっただけで、古くから存在する怪しい手口と変わりません。
「うまい話に安易に乗ってはいけない」というのは、情報過多のオンライン時代だからこそ、大事になっていく教えなのではないでしょうか。相手が信頼できるか迷ってしまうようなら、周囲の人や消費生活アドバイザーなどに相談するなどして、客観的な意見を聞いて判断するようにしましょう。
ポイントのまとめ
基本的な注意点をまとめてきましたが、総じて言えるのは、オンラインといえども現実の社会の延長上にあるということです。まずは安全を守るために、気をつけるべきところには配慮すること。そして人と人の出会う場として、互いがマナーを守って、心にゆとりを持って動くこと。また怪しい話に乗らないためにも、日常生活で大事になるような、一般常識に則って行動することが大切なのではないでしょうか。
それでは最後に、オンラインミーティングの事前チェック用に、気をつけたいポイントを流れに沿ってまとめてみましょう。ぜひ安全で楽しい時間をお過ごしください。
①アプリケーションは「最新版」
OSやアプリケーション、セキュリティソフトは定期的にアップデートされ、不具合の解消や機能の向上が図られます。随時最新版に更新しておきましょう。
②ミーティングURLは「参加者だけに共有」
部外者のアクセスを避けるため、参加者以外が見られる方法での通知は避けましょう。
③パスワードやロック機能で「参加者を限定」
多くのオンラインミーティングサービスには、参加メンバーを限定するための機能が用意されています。
④フリーWi-Fiでは「VPN」
カフェや外出先でインターネットに繋ぐ際、フリーWi-Fiは第三者がアクセス可能なものも少なくないため、どうしても使用する場合にはVPNを使って安全性を高めましょう。
⑤スタート前にもう一度「画面の背後に注意」
映り込んではいけないものはないか、誰かが聞き耳を立てていないか
⑥有意義な時間をつくる「マナー」
節度を持ってコミュニケーションの時間を楽しみましょう。
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